ハンガリーで最近、体の一部が発掘されたこの化石の生物は、モササウルスと呼ばれる古代の水生爬虫類の
仲間に属する。モササウルスはワニとクジラを掛け合わせたような外見をしている。
今回の新種はパンノニアサウルス(Pannoniasaurus)と名付けられた。モササウルスの仲間で、生涯を通じて
淡水域で暮らしたと考えられる種が見つかったのは初めて。
「ここで示された物証から明らかなのは、(クジラ)の子孫の一部と同様に、モササウルスも異なる水生環境に
短期間で適応したということだ」と、今回の研究を率いたハンガリー自然史博物館の古生物学者ラースロー・
マカーディ(Laszlo Makadi)氏は声明の中で述べている。
◆若い個体の化石は珍しい
今回の化石は、ハンガリー西部の炭鉱の廃棄物集積所で発見された。化石は同じ場所で大量に見つかっており、
体長約1~4メートルまでの複数のパンノニアサウルスの個体のものと見られる。
小型の化石は若い個体のものと見られ、珍しい発見だと専門家らは言う。
カナダのアルバータ大学のマイケル・コールドウェル(Michael Caldwell)氏は、「見つかるのはたいてい
成体だ。若い個体や子供が見つかるのは珍しい」と説明する。コールドウェル氏はモササウルスの専門家で、
今回の論文の共著者の1人だ。
このように1カ所で複数のパンノニアサウルスの個体が見つかったことは、この種が間違いなく淡水性だった
ことを窺わせる。一部のサメなどのように、モササウルスでも、海洋性の種がときおり川に侵入してくることが
あったかもしれないが、パンノニアサウルスに関してはそのようなケースではなく、本当に一生を淡水域で
送っていたようだ。
「何よりうれしいのは、(パンノニアサウルスが)暮らしていた場所が明らかになったことだ。しかもライフ
サイクルの全段階を通じてそこに暮らしていたのだから」とコールドウェル氏は言う。
◆川の生態系のトップに君臨
パンノニアサウルスの生きていた白亜紀後期には、今回の化石の見つかった地域は熱帯に属しており、列島の
一部であった。周囲を淡水の“海路”に囲まれており、これは現在のアフリカ大陸とヨーロッパ大陸南部を
隔てていた。パンノニアサウルスはこれらの島々から“海路”へと流れ込む淡水の川に暮らしていた。
これらの川には魚類、両生類、カメやトカゲやワニの仲間、恐竜などが暮らしており、その化石もすべて、
今回の発掘現場から見つかっている。パンノニアサウルスは体が大きかったので「おそらく川の生態系の
頂点に立つ捕食者だったろう」とコールドウェル氏は言う。
ただし、その歯が小さく鋭いことから、パンノニアサウルスは主に魚を食べ、まれに両生類やトカゲに手を
出す程度だったと考えられる。「獰猛な捕食者だったかどうかは疑わしい。おそらく魚を捕らえて満足して
いただろう」とコールドウェル氏は言う。
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以降に続く)
▽画像 古代の川を悠々と泳ぎ回るモササウルスの仲間(想像図)。
Illustration courtesy Tibor Pecsics
▽記事引用元 ナショナルジオグラフィックニュース(December 20, 2012)
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20121220003
▽PLOS ONE
「The First Freshwater Mosasauroid (Upper Cretaceous, Hungary) and a New Clade of Basal Mosasauroids」
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0051781
続き)
◆ワニのような暮らしぶり
ほかの海洋性のモササウルスの仲間は、大きなヒレを使って泳いでいたが、パンノニアサウルスの四肢は
もっと脚に近い形をしている。おそらく、ときおり陸に這い出てくるときに役立ったのだろう。
パンノニアサウルスは「水陸両生だった可能性も十分にある」とコールドウェル氏は言う。「現代のワニにかなり
近い暮らしぶりだったのではないかと考えている。大部分の時間を水の中で暮らしていたが、川が
干上がったら別の川に這って移動することも可能だった。浅瀬に出て日向ぼっこをして体温を調整することも
あったかもしれない」。
アリゾナ州にあるミッドウェスタン大学の古生物学者ランダル・ナイダム(Randall Nydam)氏は、淡水性の
モササウルスの発見は「かなり重要」だと言う。
「モササウルスに淡水性の仲間がいるなど、正直考えたこともなかった。海洋生物ならではの特徴を備えて
いたからだ」と言うナイダム氏は、今回の研究には関与していない。今回のハンガリーの化石が最初に報じら
れたとき、多くの古生物学者はそれをコモドオオトカゲのような大型の陸生トカゲのものと考えたとナイダム氏は
言い添えた。ところがすぐに、この生物が水の中で暮らしていた物証が多数見つかったのだという。
◆淡水性爬虫類はほかにも?
コールドウェル氏は、古代の海洋性爬虫類の中でモササウルスだけが淡水環境に適応できたとは考えにくいと
言い添える。
「淡水性のプレシオサウルスやイクチオサウルスも存在したと確信している」とコールドウェル氏は言う。
いずれも大型の海洋性爬虫類で、プレシオサウルスは首が長く、イクチオサウルスは現代のイルカに似ている。
「その物証がまだ得られていないだけだ」。
淡水性のモササウルスに関する今回の研究は、オンライン科学誌「PLOS ONE」に12月19日に掲載された。
(以上本文引用ここまで)
クジラの要素が何処にあるんだ?
ワニにしか見えんが?
コイツはまだ進化の初期段階の種だからだよ
後世の大型化した海棲種は最近はクジラに近い復元図になってる
ネス湖のネッシーもあながち荒唐無稽とは言えないのか。
河川は海よりも狭いし、小型化したのかも。
まじかよ
ワニとやその他爬虫類でニッチが埋まってたのか?
恐竜類の定義の問題
牛やカバに近い
骨格が似ていても爬虫類ではない
鯨偶蹄類 な、現在の書き方だと。いまだに違和感あるんだが...
ところで海に両生類いないのはなぜ?
肌が海水に向かないのだろう。と言いたいが、古代にはいたらしい。
単純に恐竜が海に入らなかったのと同じでニッチの問題かと。
浸透圧調節能力がほぼ皆無だから。
でも汽水域で生息してるカニクイガエルは一応海水でも生きられる。
尿素を体に貯留して浸透圧を上げる事ができるから。
軟骨魚類と同じ手法。
ただ、オタマジャクシの時には尿素を貯留しているわけではないため、
どうやって海水に耐えているのか現状不明なんじゃなかったかな。
化石種には海生両生類もいたらしいぞ。その辺は素人 ◆GD..x272/. に聞け。
いや、生物、古生物の学者なら、考えてみるぐらいはすべきだろ
イルカだってアザラシだって淡水産いるんだから
首長竜とかは淡水産がいたんだけど、
モササウルスは中生代の終わり頃にようやく現れた新顔だから、
淡水産などのバリエーションを残す前に消えたと想定していた人が
多かったと思う。
モササウルスの仲間だって当然、大きな川や海と繋がった湖に進出するわな
ヒレじゃない立派な四肢がある以上、むしろ逆に
「陸棲オオトカゲから海棲大型種へ移行する段階の原始的な種」なんじゃないの?
ラッコやビーバー、そこまでいかずともカバ相当の奴なら居たんじゃね?
海ではワニさんがかなり頑張っていたんだよな
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