横山光輝作の漫画「三国志」全60巻。同作に心を奪われたソニー・デジタルエンタテインメント・サービスの原寅彦さん(27)は、「いつかこれをデジタルコンテンツにしたい」と構想を練っていた。
企画が通るずっと前から、インパクトの強いコマを選び出してはスキャンし、集めていた。
全1万2419ページから2年以上かけ、4100ものコマをストック。この1月、「LINE」のスタンプになったのは、その中から厳選した40コマだ。
恐怖に満ちた表情で叫ぶ「げえっ」、敵の心理戦に焦る「待てあわてるな これは孔明の罠だ」、山盛りのみかんを差し出す「温州蜜柑でございます」……ネットでも人気のコマを網羅したスタンプは圧倒的な支持を受け、公開直後の売り上げで「アンパンマン」「ふなっしー」に次ぐ3位にランクイン。
三十年近く前に連載終了した作品のスタンプが現役の人気キャラと肩を並べるという、異例の事態となった。
「横山先生の三国志はエバーグリーン。時が経っても色あせないんです」――原さんは、横山作品の魅力を語り出すと止まらない。スタンプ化への道のりは平坦ではなかったが、原作への愛と情熱で乗り越えてきた。
(中略)
■権利元にぶつけた、“狂気に満ちた企画書”420ページ
2年ほど前に偶然、横山光輝作品の権利元である光プロダクションとのつてができ、温めてきた企画を光プロにぶつけるチャンスを得た。原さんは、横山作品への愛を詰め込んだ大量の資料を光プロに持ち込み、「横山作品でチャットスタンプを作らせてほしい」と申し出たのだ。
A4で全420ページにもわたる資料は、今思うと「狂気に満ちていた」。横山作品から原さんがピックアップした「珠玉のコマ」を詰め込んだ資料で、三国志から選んだ4100コマを「魏」「呉」「蜀」の国別、「孔明」「孟獲」など武将別に分類したものに加え、「鉄人28号」「水滸伝」「バビル2世」「魔法使いサリー」など、三国志以外の横山作品から選んだコマも大量に添付した。
分厚い資料を手に原さんは、光プロの担当者にこう訴えかけた。「1つのコマで面白さが伝わる横山光輝作品は、チャットスタンプにたいへん向いています。今流行しているチャットアプリに横山先生のコンテンツを出すことで、若い世代に横山光輝作品の魅力を伝えたいです!」
その愛は担当者に伝わり、企画にゴーサインが出た。「これまで持ち込まれた中で三本の指に入るすごい企画だ、と喜んでいただけました」
■「げえっ」「むむむ」は外せない ファン目線で絞り込み
LINEスタンプは1コンテンツ当たり40個という制限があるが、候補のコマは4100。100分の1に絞らなくてはならない。
「ファンは本当にこのスタンプを欲しがるだろうか」と問いかけながら、ファン目線で絞り込んでいった。
ネット掲示板などで人気のコマはできるだけ入れるよう配慮しつつ、武将やセリフ、シチュエーションのかぶりなどを省いていった。
「待てあわてるな これは孔明の罠だ」などネットで人気のコマは迷わず採用。横山作品を代表するセリフ「げえっ」「むむむ」も「絶対に外せない」と考えたが、多くのキャラが発しているセリフでもあり、1つずつに絞る必要があった。
悩んだ末、「げえっ」は、せりふが大きく手書きされている曹操のコマを、「むむむ」は、「なにがむむむだ!」との掛け合いでおなじみの馬超のコマを選んだ。
ネットでの人気やスタンプとしての使い勝手を考え、無名のキャラも多数採用した。「温州蜜柑でございます」と曹操にみかんを差し出す使用人、都に出るべきだと宣言する袁紹の隣で「ウム!」とうなずくだけの部下などだ。
(>>2
につづく)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1402/17/news038.html
ファンに人気でも、スタンプ化できなかったコマもある。その筆頭が「甘寧一番乗り」だ。
呉の猛将・甘寧が、敵の城壁を駆け上り、鉄球を振り回して「甘寧一番乗り」と叫ぶ勇壮なシーン。
三国志好きなら知らぬ人のないコマで、LINEスタンプ購入者から「なぜこのコマがないのか」という声が最も多かったという。
「選んであったんですが……」。原さんは悔しそうに話す。入れられなかった理由は2つある。
1つはシチュエーションのかぶりだ。「甘寧一番乗り」は、トークを始める際のきっかけのスタンプとして使えるが、戦闘開始の銅鑼が鳴る様子を表したスタンプ「ジャーンジャーンジャーン」とかぶってしまうため、後者を採用することになった。
もう1つの理由は、社内の理解を得られなかったこと。スタンプのデザインは全て社内の稟議を通す必要があるが、社内には三国志を知る人がほとんどいない。
「呉の猛将・甘寧だから是非入れたいと訴えても『そんな武将は知らない』と言われてしまって……」
そもそもLINEスタンプは、そのコンテンツを知らない人でも欲しくなる、分かりやすいデザインであるべきとの社内からの意見に、原さんは反論することができなかった。
「社内ですら説得できないのに、世の中を説得できるだろうか」――開発中にはそんな不安もよぎったという。
社外の三国志ファンに救われたこともあった。魏延が「わしを殺せるものがあるか」と叫び、馬岱が「ここにいるぞ」と応じるスタンプ。社内では理解が得られず、候補から落とされてしまったが、LINE社内の三国志好き担当者から「入れてほしい」とオーダーを受け復活した。
「三国志という作品はそれだけファンが多いんだなと実感しました
■ニーズ読み違えも 霊帝の「とてもつらい」がない理由
ユーザーニーズを読み違えてしまったものもある。寝込んでいる人のコマだ。ネット上では、病床の霊帝が「とてもつらい」とつぶやくコマが人気だが、スタンプに採用したのは、霊帝ではなく孫策が伏せったシーン。霊帝というマイナーキャラより、呉の初代皇帝・孫権の兄である孫策の方が「ファンが多いだろう」と考えた。
だが出してみると、「なぜ霊帝の『とてもつらい』がないのか」と、嘆きの声が多数届いた。
「孫策と霊帝をてんびんにかけて、霊帝が勝つと思わなかった。僕としては一般に歩み寄ったつもりだったんですが、裏目に出ました……。とてもつらい」
一方で、ネットでほとんど出回っていないが、スタンプ化して人気となったコマもある。
「いやでございます」だ。孫権の親戚・孫韶が、孫権に反論するシーンから取った。
「この顔とこの味な言い回し! 孫韶もマイナーキャラですが、これを機にみんな、孫韶に興味を持ってもらいたいですね」
■「こんなに待ってた人がいたんだ」 第2弾の可能性も
スタンプ公開日。原さんが個人のTwitterで告知したところ、いつもの何倍もRTされ、LINE内の課金ランキングでは「アンパンマン」「ふなっしー」スタンプに続く3位を獲得。
「こんなに待ってた人がいたんだ。僕だけじゃなかった」と実感した。
スタンプがきっかけで三国志ファンの有名人と交流する機会を得るなど、新たなつながりも生まれた。
「横山光輝三国志という作品の魅力のすごさ、浸透のすごさを感じました。趣味がここまで嵩じたのは幸せです」
実は、三国志スタンプ第2弾の制作を「交渉中」だ。「次があれば、『甘寧一番乗り』も、霊帝の『とてもつらい』も、関羽の『そんなものはない』も入れますよ!」と原さんは意気込む。
候補のコマはまだ4000以上も残っており、第3弾、4弾……と出せるストックもある。
ただ「次が決まるかは、第1弾のダウンロード数次第」だ。「是非ダウンロードしていただき、ダウンロード済みの方は友人や家族、親戚にプレゼントしてもらえれば。
今年は横山先生生誕80周年の記念の年。これを機に、横山光輝という作家にも注目してほしいです」
(抜粋。画像はソースにて)
ドラえもんなんかも決まった絵をよく見かけるね
派遣先の若い職員が同僚に三國志は横山光輝で知るものと力説してたよ。意外といるかも。
うぬに関羽の首が取れるか!
取れるとも!
馬忠!潘璋!
やれーい!
判別するには三国志の主人公は誰?と聞けばいい
横山なら劉備、蒼天は曹操、無双は趙雲と答える
まあ普通におっさん、若者、女子供とも分けられるが
あのゲーム誰が主役かよくわからん
次に横山アニメ→漫画→北方→無双→蒼天かな
最初に張飛が好きになったからこの流れ
すぐ上に出てますやん
甘寧を知らない奴がいるのか! とビックリしたけど、冷静に考えてみりゃ、そりゃそうだわなw
全員全巻揃えてて然るべきなんだが…最近のヤングはビジネス書読まないのかな。
>原さんが用意していた「取材対応に使える三国志のコマ集」
これは意表を突かれたw
じゃ、稜統で
数年前にやったテレ東の三国演義で、
4クール使っても超駆け足になってしまう事が判明してしまった(´・ω・`)
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